変革を阻む罠の1つは、「将来を想像できないことだ」と指摘するネイサン・ファールINSEAD准教授。この心理的な問題を解決するために使えるのが、SFだという。
- 01 経営改革の最強のツールは物語だ
- 02 8人のSF作家が経営者を変えた
- 03 パワーポイントには弊害がある
- 04 イノベーションに脳神経学を使う
- 05 挑戦を測定する新しい指標をつくる
- 06 抵抗勢力をどのように説得するか
- 07 変化を起こすための行動とは
- 08 自分と違うタイプの人と協働を
- 09 オランダのINGは獲得と放棄を実行した
- 10 「aibo(アイボ)」販売再開のソニーに注目
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物語を使うことの効果を、どのように実証できますか?
ネイサン・ファール(INSEAD准教授):私は変革を阻むいくつかの罠を特定しました。これらの罠(わな)に対処するためのツールついて説明しています。
最初に、よくある罠の1つは、将来を想像できず、変革に尻込みすることです。「漸進的思考(incremental thinking)」と呼び、これが人々の変化を妨げます。将来がどうなりそうか、想像できないのです。最近出した著書ではこれを克服するツールを提案しています。漸進的思考はとても強力です。ちょっと面白い、有名な実験を紹介しましょう。
- ●人間にありがちなバイアスとは?
- ●バイアスを取り除くために使えるツールとは?
- ●物語が人々に与えるものとは?
携帯電話からSIMカードを取り出すことを想像してください。参加者にクリップと紙束を渡すと、クリップを使えば取り出せることがすぐ分かるのですが、紙をクリップで留めた状態で渡すと、クリップで取り出せると分かる人が減る。これは「機能的固定性」と呼ばれる心理的な現象です。
それだけではありません。個人や組織に、今見ている世界が全てだと思わせる心理的バイアスはたくさんあるのです。今日見ている世界が全てであると信じがちです。我々は組織を助けるいくつかのツールを導入し、個人としてほかに何ができるか想像する手助けをしました。
そのツールの1つはサイエンスフィクション、SFです。 SF作家は人間の視点で、未来を想像させられるのです。「推論による組織の作り話」と呼ぶこともあります。我々は5~8人のSF作家たちに、この会社の5年後の未来を想像してもらいました。
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